地震・豪雨・台風などで被災した時の、税金がお得になる2つの制度とは?
皆さん、こんにちは!
今年の西日本は、地震、豪雨、猛暑、台風などでとても多くの方々が甚大な被害を受けました。
災害により、被災された皆様ならびにそのご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。まだまだ暑い日が続きますので、あまりご無理をなさらずにどうぞご自愛くださいませ。
さて今日は、こう言った災害で被害を受けられた方に、税金がお得になる情報をお届けします。災害により、住宅や家財などに損害を受けた場合には、「雑損控除」または「災害減免法」という制度の適用を受けることができます!
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1. 雑損控除
地震や台風などの災害、盗難、横領で自宅や家財などに損害を受けた場合に、その損失の一部を所得から差し引くことが出来る制度です。簡単に言うと、損失の一部を所得から差し引くことにより所得金額が減るので、支払う所得税・住民税が安くなります。
● 対象となる資産:住宅、家財(※生活に通常必要でないものは適用外)
● 対象となる損害の原因:
・震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の変異による災害
・火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
・害虫などの生物による異常な災害
・盗難
・横領
※災害のほかに、害虫被害(スズメバチの巣の駆除費用など)、シロアリ退治、豪雪地での雪下ろしをした場合の費用も控除の対象となります。なお詐欺や恐喝による被害は雑損控除の対象となりません。マイナンバー詐欺や振り込め詐欺は適用外ですので、くれぐれも注意しましょう!
● 雑損控除の計算方法:
まずは、「差引損失額」というものを算出します。
差引損失額 = 損害金額 + 災害関連支出の金額 – 受取保険金
○ 損害金額・・・損害を受けた時の資産の時価。買った時の金額ではありません。
○ 災害関連支出の金額・・・災害により損害を受けた住宅や家財の取壊し、撤去費用、焼跡の整理費用など。
○ 受取保険金・・・受け取った保険金、損害賠償金など。
次に、以下のいずれか多い方の金額が雑損控除として控除できます。
・差引損失額 ー(総所得金額×10%)
・災害関連支出の金額 ー 5万円
※所得金額から雑損控除を引ききれないときには、翌年以降3年間繰り越して所得金額から差し引くことができます。
2. 災害減免法
災害によって多大な損害を受けた場合には、雑損控除にかえて「災害減免法による所得税の軽減免除」という制度も受けることが出来ます。これは災害によって自宅や家財などに損害を受けた場合に、所得税が軽減または免除される制度です。
● 対象となる資産:住宅、家財(損害金額がその時価の2分の1以上である場合)
● 税金の軽減額:
所得金額の合計額 | 軽減または免除される所得税の額 |
500万円以下 | 所得税額の全額免除 |
500万円を超え、750万円以下 | 所得税額の2分の1が軽減 |
750万円を超え、1,000万円以下 | 所得税額の4分の1が軽減 |
※原則として、損害を受けた年の所得金額が1,000万円以下の方に限ります。また盗難や横領についての被害は、適用外です。
3. 被害を受けたらどちらを使う?
「雑損控除」と「災害減免法」を同時に使うことはできません!どちらか有利な方を選択することになります。
雑損控除が所得控除(税金の計算の際に所得金額から控除される)なのに対し、災害減免法は税額控除(計算して出た税金の金額から控除される)です。
詳しくは割愛しますが、控除の方法が全く異なりますのでどちらが有利かをしっかりと試算する必要があります。
一概にどちらがお得とは言えませんが、どちらを選ぶかいくつかのポイントがあります!
● 年間所得金額が1,000万円以下 → 「雑損控除」もしくは「災害減免法」のいずれか
● 年間所得金額が1000万円超 → 「雑損控除」のみ
● 災害減免法は、災害による被害が対象
● 雑損控除は、災害以外でも対象になる
● 災害減免法は、当年の所得税だけを軽減、免除するもの。損害額が所得金額を超えて1年で控除できない場合は、3年間繰り越しが出来る雑損控除の方が有利
雑損控除・災害減免法の適用を受けるためには、所定の事項を記載した書類を添付して確定申告を行う必要があります。
お勤め先などの年末調整では適用を受けられませんのでくれぐれも注意してください。
また損害金額の算定のために罹災証明など、損害を受けた金額がわかるような資料を残しておくようにしてくださいね!
被害を受けられた方で、もしかしたら適用を受けられるかもしれないという方や、どちらを適用したら良いか分からないという方は、是非一度ご相談ください。
※税金の相談に関しては、個別具体的な税計算や申告業務などは提携税理士と行っておりますのでご安心くださいませ。
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