資産運用に仮想通貨はアリかナシか?独立系FPが語る!

資産運用

こんにちは!
今日は最近の話題の仮想通貨のお話です。

『資産運用に仮想通貨ってアリなんですか?』

最近の資産運用の相談を受ける中で、非常に多い質問です。そういった初心者の方のために今日はそのお話をします。

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あなたは仮想通貨を持っていますか?

ここ数年、テレビや雑誌、インターネットなどメディアを大騒がせしている仮想通貨。一気に1億円以上儲けて『億り人』と呼ばれる人たちが増えたり、仮想通貨の取引所から500億円相当もの仮想通貨が流失したりと、良くも悪くも話題が尽きない業界ですね。

さて、専門家でも賛否両論が続くこの仮想通貨。価格の上下が非常に荒々しい仮想通貨。資産運用にはアリなのでしょうか、ナシなのでしょうか?

ズバリ!私は、一部ならアリ!だと考えます。(ただし、弊社では仮想通貨を事業としては行っておりません)

今日はこの仮想通貨の注意点やリスクなどの基本についてお話しますので、実際にこれから仮想通貨取引を始められたい方が最初に抑えておかなくてはならない点などが分かります。

 

1. 仮想通貨の取引の注意点

1-1. 仮想通貨の取引は『投機』

もちろん値動きがとても激しく、あっという間に資産を失ってしまう大きなリスクが有る事は言うまでもありません。
仮想通貨を『投資』として行うのはナンセンスだと思います。

仮想通貨は他の金融商品に比べて値動きがとても激しく、まだまだ未完成な業界なので、何が起こるか先の値動きを予測するのは非常に難しいものです。ですので、仮想通貨に関しては、投資ではなく極めてギャンブル性の高い『投機』の方である事を忘れてはなりません。

最近あちこちで、昨年(2017年)に仮想通貨でちょっと儲けた人が、あらゆる周りの人達にアドバイスをしてSNSなどで仮想通貨取引に誘導している姿を頻繁に見かけます。金融のプロではなく、一般の初心者の人が2017年にたまたま儲かったからといって、周りの人を巻き込んで誘導している姿は目も当てられません。

仮想通貨元年と呼ばれる2017年は、どの仮想通貨もほぼ全てと言って良いほどのほとんどの仮想通貨が上昇したのです。簡単に言ってしまうと、2017年はどの通貨を持っていても儲かったということなのです。たまたま儲かった金融知識のない一般の人のアドバイスに全面的に乗っかるのは特に注意して欲しいと思います。

中には仮想通貨を語った詐欺などもとてもたくさん横行している様です。十分注意してくださいね。

1-2. あくまでも一部の余裕資金で

そして更に最近よく見かけるのが、その億り人などのたくさん儲けた人たちを見て羨ましく思い、自分が乗り遅れたのを取り戻そうと全財産に近いお金をこの仮想通貨に投入してしまう人がいます。

これは正に一か八かのギャンブルですよね。まさに一攫千金か、もしくはゼロになるリスクも有る訳です。

ですので、こう言った理由からもちろん全財産を預けるなんてもってのほかですし、一部の余剰資金の中の遊びで出来る様な金額でやってみるというのはアリかもしれません。私が資産運用の中に仮想通貨を入れるのはアリと言っているのはそういう意味ですので、全面的に資産運用としてこれをオススメしている訳ではありません。その辺りは誤解の無い様にお願いします。

また仮想通貨は良くも悪くもいろんな情報がインターネットにもたくさん出ていますので、きちんと自分自身で情報収集や勉強をして、あくまでも自己責任でやりましょう。

 

2. 仮想通貨の取引の4つの大きなリスク

さてそんな悪いイメージもある仮想通貨ですが、私は自分の資産の中の一部にそれを組み入れる事はアリだと考えています。実際に私自身も資産の一部として持っています。
ただ、自分の資産にこれを組み入れるにしても、仮想通貨は値動きが激しいだけでなく、通常の金融商品には無いあらゆる大きなリスクが隠れています。

① 価格変動のリスク
② カウンターパーティリスク
③ 誤送金で無くなるリスク
④ 流動性リスク

などなど、多くのリスクが隠れています。
一つずつお話します。

① 価格変動リスク

これは文字通り、価格が上がったり下がったり変動するリスクになります。

分かりやすく仮想通貨の代表例のビットコインでお話しますと、2017年の年初は1ビット10万円代だったものが、最高値で1ビット230万円まで上昇したのは皆さんもニュースか何かで聞いた事はあるでしょう。その後ビットコインは暴落して一時は1ビット60万円代まで下落しました。

一年間でこんなに値動きの大きな仮想通貨は、かなりギャンブル性の高い投機的なものと言えるでしょう。取引所によってはこの仮装通貨のFXも出来ますが、リスクは更に高まります。

② カウンターパーティリスク

これは預けている取引所が破綻するリスクになります。

先日もテレビでCMをやっていた大手の取引所から仮想通貨の一種であるネムというコイン500億円相当が不正に流出した事件は皆さんもご存じでしょう。また、2014年にはマウントゴックスという取引所がビットコイン115億円相当を消失し、後に経営破綻したという事もありましたね。

この仮想通貨の業界はまだ歴史が浅く、未完成な業界なので、各国の規制も追いつかずに野放し状態になっている所もあります。顧客保護やセキュリティの甘さなどの問題でハッカーに狙われる取引所も点在しています。取引所に置いていたお金は、その取引所が破綻すると戻って来なくなるリスクもはらんでいます。

顧客と会社の資産を別々に管理する『分別管理』を謳っている取引所でも今回のコインチェックの様に蓋を開けてみないと分からない状況です。

大きな資金を仮想通貨に投入する場合は、取引所に置かずにウォレット(財布)で管理するのが一般的ですが、このウォレットにも流出リスクが高いものや低いもの、そして管理に手間がかかるものやかからないものなど、多くの種類が有ります。

③ 誤送金で無くなるリスク

仮想通貨の送金は取引所間などで行えますが、その送り先の入力ミスなどで間違えて送ってしまった場合、戻って来なくなるリスクが有ります。

通常、日本円の銀行振込をする際に、送り先を間違えた場合は後日戻って来ますよね。それが仮想通貨は戻って来ない可能性が有るのです。送金時にはまずは少額で送ってみたり、慎重に手続きしましょう。

④ 流動性リスク

仮想通貨で一番有名な王道通貨は今のところビットコインですが、それ以外にも1,000種類以上の仮想通貨が今もあちこちで生まれています。ビットコイン以外の仮想通貨のことをアルトコインと呼びます。それらのアルトコインの中には、非常にマイナーな通貨も有ります。

現時点での時価総額の1位はビットコインですが、2位はイーサリアム、3位はリップル(2018年2月11日現在)など世界中に普及しているアルトコインも有りますが、これ以外にもマイナーなコインもたくさん有ります。

これらの仮想通貨は取引所や販売所という所で売り手と買い手のマッチングで取引されるわけですが、将来そのコインに需要が無くなれば買い手が付かない(誰も買わない・売れない)という事態も考えられます。これは仮想通貨だけでなく、世界中の法定通貨にもマイナーな通貨はこの流動性のリスクは常に有るのです。

こうなると、実際に売りたい時に売れないというリスクもはらんでいる訳です。

 

以上4つの大きなリスク。

この様に仮想通貨には、価格が大きく変動するリスクも有りますが、それ以外にも大きなリスクが多々埋もれているのです。通常の金融取引とは大きく違った部分も多々有りますので、実際に取引を始められる方は十分に注意しましょう。

 

3. 取引所と販売所

では実際に、この仮想通貨の取引をやってみたいという方はどうすれば出来るかをお話します。

まず、仮想通貨の取引所で口座を開設します。(アプリが無い取引所も有ります)日本では世界でもまだ珍しく、仮想通貨取引所には金融庁の登録制度が有ります。現在、新しく業者が仮想通貨の取引所を新設するには、この金融庁の登録が必要になります。

その規制が出来る以前から取引所を運営していた業者の中で、まだ登録を受けていない申請中の業者は『みなし業者』と呼ばれ、現時点では運営を継続して行うことが可能です。(新たに登録期限が設けられるという話も有ります)

先日、仮想通貨のネムが500億円相当不正流出したコインチェックはこのみなし業者になり、現段階(2018年2月11日現在)ではまだ登録を受けていません。テレビでCMをやっていた様な大手の会社でもこの様に登録が完了していない取引所も有るので注意が必要です。

そして取引所に口座を開設したら、今度はその口座へ自分の資金を送金して取引を行います。そうすると、開設した口座には『取引所』というものと『販売所』というものが有る事に気がつくでしょう。

これらはどう違うのでしょうか。

3-1. 取引所

まず取引所は、市場に参加している人たちの需給で価格が決まっていき当事者同士の売買になります。

良い情報が出て人気が出れば上がり、悪い情報が出れば下がるという風に仮想通貨の価格は乱高下し、1日の中で40%以上も動くこともよく有ります。自分が売りたい時や買いたい時に自分で値段を決めて指定して、その値段での買い手や売り手が出るまで待つ事ができる『指し値』を設定する事も出来ます。

3-2. 販売所

また、一方の販売所の方は、その業者自身が持っている仮想通貨の売買になり、売値と買値の間に手数料が発生しています。これら販売所で売買すると、同じ仮装通貨でも取引所で売買する場合に比べて手数料が割高になるのはよく知られています。

また、販売所での売買には指値が出来ません。

ですので、基本的には販売所は手数料が高く設定されている傾向にあるので、本当は取引所で買いたいところなのですが、アルトコイン(ビットコイン以外のコイン)については販売所での売買が多く、取引所で売買出来るところが少ないのです。

アルトコインを販売所ではなく取引所で売買出来る様な海外の取引所などに目を向けると、日本では販売所でしか売買されていないアルトコインが取引所で売買されていたり、もちろんアルトコインを指し値売買が出来る取引所も有ります。(円建てでの売買ではなくBTC建てでの取引に限られているものもある)

ただし、海外の取引所に関しても前述のカウンターパーティリスクは有るので十分注意しましょう。

 

4. あくまで自己責任で!

さて今回の記事でザックリと基本中の基本をお話してきましたが、今でも専門家の中でも賛否両論が真逆に語られているこの仮想通貨。

一体この先どうなっていくのでしょうか?

この仮想通貨にはブロックチェーンという技術が使われています。

ブロックチェーン技術は世界中に革命を起こしている技術で、この先も仮想通貨業界に限らず、あらゆる業界でどんどん普及していくでしょうけど、そのブロックチェーンの普及自体とこの仮想通貨の価格の値動きは別のものですので、そこを間違えない様にしましょう。

というわけで今日は話題の仮想通貨のお話をしましたが、最近ご相談頂くお客様からの質問もかなり多く、あまりにも話題になりすぎているので、初心者の方のために非常に基本的なお話をさせて頂きました。

今さら参入しても遅いのでは?と思われる方も、ちょっとやってみようかと思われる方も、これだけ大きなリスクの有るギャンブル性の高い投機ですから、やるかやらないかはくれぐれもご自身で判断してくださいね。

皆さん各自の自己責任でやる事は忘れてはいけません。

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伊藤 尚徳

伊藤 尚徳

金融機関の事業資金融資の部署で8年間勤務した後、FP資格を取得して大手FP事務所に勤務し、その後独立した金融業界一色の専門家。 FPは一つの分野に特化していてはいけないと、幅広い相談が出来る様に独立系FP事務所、株式会社FPギャラリーを設立。 現在、大手上場企業7社と提携し、資産運用、住宅資金相談、保険、税金、相続・事業承継など、法人・個人含めてFP6分野全てで年間約600件以上のあらゆる相談を受けて問題を解決している。 また、全国各地でセミナーや各種講演なども行っており、非常に分かりやすい話し方に定評がある。家計の無駄を徹底的に省き、資産に残す提案を得意とする。

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