実際に有った家計の見直しの実例
こんにちは!
今日は、家計相談の中でよくある基本(初級)をお話します。
ちょっと例題です。
この世帯の家計は、どう見直したら良いでしょうか。あなたも自分なりに一度考えてみてください。
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目次
1. 実際に有った家計の見直し相談例
● ご主人:35歳 会社勤務 年収480万円
● 奥様:33歳 パート勤務 年収100万円
● お子様:2歳
《金融資産》
● 定期預金 300万円
● 確定拠出年金 35万円(月2万円)
《借 入》
● 住宅ローン 2,800万円(固定金利1.35%)
● 車のローン 100万円(年利4.5%)
● クレジットカードのリボ払い 30万円(年利13%)
と言った家計です。
この家計、どこかに問題があるでしょうか。ちょっと考えてみてください。
私が年間で多くのご相談をお受けする中で、こういった相談は何度も有ります。家計の相談というと、家計簿の見直しというイメージも多いのですが、この資産と借入のバランスを見る事もとても大事な事なのです。
さて、皆さんは答えが分かったでしょうか?
では答えです。
2. 資産と借金のバランスを見る
まず、年収や家族構成を見ると、どこにでも有るごく一般のサラリーマン家庭ですね。この家庭の問題は、この資産と借入のバランスなのです。
まず一番の問題は、クレジットカードのリボ払いにあります。この利率に注目してください。
『年利13%』と書いてあります。
ここが非常に重要なのです。
借入残高が30万円という事は、単純計算をすると、30万円にかかる年間の利息は約39,000円にもなります。
一方、この方の定期預金は300万円有ります。あなたもご存知の通り、今の日本の定期預金の金利は約0.02%ほどになります。300万円に対して年間いくらの利息が入ってくるでしょうか。
答えは、約600円(税引前)になります。
さてこの状況、何かおかしくないでしょうか?
はい、そうです。この人は、クレジットカードのリボ払いを先に返してしまった方が良いのです。
この方は、定期預金が300万円有る訳ですから、本当はリボ払いにしなくても一括で払えた人なのですが、それをせずに、定期預金にお金を残したまま30万円のお金を借りている状況になります。
30万円を一括払いするとこの39,000円の利息はかからなくて済みます。ですが30万円を定期預金を崩して一括払いをすると、その分の定期預金の利息がもらえなくなります。
では30万円に対する年間の利息はいくらでしょうか。
答えは60円です。(0.02%の場合)
この人の場合は、理論上、定期預金でたった60円の利息をもらうためにクレジットカード会社に39,000円の利息を払っているという事になるのです。これは本当に馬鹿らしい支出ですね。
これを解消するために、定期預金を崩して一括払いでリボ払いの30万円を返してしまうと、定期預金のわずかな利息60円はもらえなくなりますが、その分リボ払いで払っていた39,000円の利息は払わなくてよくなるのです。
これはさっさと返してしまった方が良いという結果になりますね。とても簡単な理屈ですね。例え毎月の支払額が無理なく支払えていたとしても、この状況は明らかに損なのです。
3. 資産運用の利回りや税金面も比較する
では、この例題の方の車のローンはどうでしょうか。車のローン残高は100万円で、その利率は年4.5%になっています。
これはどうでしょうか?
答えは、これも返してしまった方が良いです。
先ほどのクレジットのリボ払いの考え方と同じです。
車のローンの残高100万円に対する年間の利息は45,000円になります。でもこの方は貯金が300万円有る訳ですから、本当はローンを借りなくても現金で買えた人なのに、わざわざローンを借りて金利を払って買ったのです。
と言うことは、貯金を残している事によって100万円に対する定期預金の利息は200円(0.02%の場合)がもらえますね。でもその200円をもらうために、ローン会社に45,000円を払っている事になるのです。これも本当に馬鹿らしい出費ですね。
でも4.5%の金利以上で資産運用が出来ている場合は、車の購入はローンで借りて手元の100万円を運用した方が良いという理屈になるのですが、もちろん資産運用にはリスクが伴います。
確実に年4.5%の利益を出し続けられるならそれもアリかもしれませんが、確実に年4.5%を長期にわたって出し続けるという保証は無い訳です。
ですので、この4.5%などの高い利率での借入がある場合は、先に返済してしまう事をオススメします。(※法人での車のローンは減価償却費が損金算入出来るので、考え方は全く違います。)
また、住宅ローンの繰上げ返済や購入時の頭金の金額に関しては、住宅ローン控除というもので所得税の還付金が有るので、その分も考慮して計算しなくてはなりません。住宅ローンの場合は、金利以上の税金が戻ってくるならそれは繰上げ返済はしない方がお得になる場合も多々有ります。
ローン金利や税金面、そして資産運用の利回りなど、総トータルの比較で一番有利な方法を検討する様にしましょう。
4. 絶対に手元に残しておかなくてはならない『生活防衛資金』
ただ、ここで一つ大事な事ですが、絶対に手元に残しておかなくてはならない金額も有るのです。
この家計で大きな買い物をするのに、すべてを現金で買ってしまうと、手元のお金が無くなってゼロになってしまう事も考えられます。普段の生活で何もトラブルが起こらなければそれでもやっていけるかもしれませんが、私達はあらゆるリスクに囲まれて生活をしています。
例えば、会社をリストラに遭ってしまう。事故や病気で入院をして働けない状況になってしまう。などなど、予測の出来ない事態が起こる事も有ります。
その不足の事態に備える資金もある程度置いておかなくてはならないのです。その不足の事態に準備しておくお金を『生活防衛資金』と言います。
果たしてそれはいくら残しておけば良いでしょうか。これは万一の不足の事態に備える訳ですから、もしそうなった時に家族が生活していける様な金額を残しておかなくてはなりません。
その金額は、
毎月の家族の生活費(貯金は省く)×最低6ヶ月分=生活防衛資金
という計算をします。
毎月のご家族の生活費が25万円のご家庭なら、25万円×6か月=150万円ということになります。
最低この金額ぐらいは残しておく様にしましょう。慎重な方だと12ヶ月分置いておく方もいらっしゃいます。
もちろんこの生活防衛資金のお金は、資産運用をしてもいけません。
この金額に関しては、いつでも下ろせる様な定期預金や普通預金などに置いておきましょう。そしてそれ以外の残りの金額は、こう言ったリボ払いが有るならその返済に回したり、出来るだけリスクを抑えた資産運用をしてお金を効率的に殖やしていきましょう。
ローンや資産運用は、税金面も含めた全ての総トータルの比較で見ていかなくてはならないのです。総トータルで比較しながら、一番有利でお得な方法を選んでたくさんのお金を残していきましょう!
今日は、簡単な家計の見直しの初級編でした。
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