住宅ローンの借り換えで3年分の給料を生み出した話【実例・比較】

不動産・住宅

こんにちは!
今日は、先日私に実際にご相談頂いたお客様の事例をお話します。

今回は以下のお客様からの『住宅ローンの借り換えをした方が良いのかどうか』というご相談でした。

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恐ろしいほど低くなった住宅ローン金利のお得なお話

住宅ローン、固定金利と変動金利どっちがいい?

 

1. 実際のお客様の事例

〜〜〜〜~《大阪府在住 M.T様》~~〜〜〜

★ご家族(4人家族)
    主人:43歳 会社員 
    
奥様:43歳 パート勤務
    
お子様:中学2年生男子
        
小学6年生男子の2人

★戸建て住宅

★住宅ローン
    大手の某銀行
    
平成16年に借りて35年ローン
    
現在の残高2,339万円
   
(変動金利1.97%)
    
毎月11万3,412円の支払い

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

といった内容でした。
さてこのお客様、住宅ローンを借り換えした方が良いでしょうか?

私の答えは、『今すぐ借り換えをしましょう!』というものでした。

まずパッと見た瞬間思ったこと。。。それは、『きっ。。金利が高すぎる!!💧』ということ。

この住宅ローンの金利は変動金利で1.97%でしたが、今の他の銀行では住宅ローンは変動金利で安いものを借りると0.475%なんていうものも有ります(平成30年4月現在)。

その金利差はなんと、1.495%!!

この方は平成16年に35年ローンを借りている訳ですから、あと21年間の返済が残っています。今は毎月113,412円の支払いをしていますが、これをもし今の0.475%の変動金利に借り換えたとしたら、毎月の返済は97,542円になります。その差額は毎月15,870円!!1年間で190,440円の差。これを21年間払っていけば、なんと、、、

3,999,240円!!

そう!借り換えをすれば、残りの21年の期間で、総額約400万円もお得なのです!!これはお客様もさすがにとても驚いておられました。

 

2. 借り換えで給料の3年分の金額が生み出せた

今回ご相談頂いた奥様は、スポーツジムで時給910円でパート勤めをされています。
住宅ローンを借り換えする事で生まれた400万円を、今のパート勤務の給料で稼ごうと思えば、何時間分になるでしょうか?

400万円÷910円=約4,395時間
になります。

この方は1日4時間の勤務をされていますから、これは1,098日分の給料に該当します。住宅ローンの借り換えで生まれる金額は、毎日休みなく働いた3年分の給料に該当するのです。
3年間休みなく頑張って働いた金額と、ちょっとだけ1〜2時間ほど住宅ローンの事を学んで借り換え手続きを一回するのが同じ金額になるのです。

3年間休みなく働く金額 = 1時間住宅ローンを学んで借り換えして生まれる金額

ということなのです。
これはさすがに驚いておられました。お金の知識がどれだけ大事かが身を持って実感されたことでしょう。

ですが、ここからが重要です。住宅ローンの借り換えは、安くなるならすぐに借り換えた方が良いのでしょうか。

それはちょっと待ったです。

 

3. 諸経費がかかっても借り換えをした方がいいかの3つの判断目安

住宅ローンの金利が安くなったとしても、借り換えには別途諸経費というものがかかります。これは登記費用だったり事務手数料だったり保証料だったりと、あらゆる諸経費というものがかかるのです。借り換えをして多少金利が安くなっても、この諸経費がそれ以上にかかっていたら本末転倒になり、損してしまうケースも有ります。

ですので、金利だけでなく諸経費も考慮して借り換えを進めなくてはなりません。では、どういったケースなら諸経費を払っても借り換えた方がお得になるのでしょうか。

それには3つの目安が有ります。

まず、借り換えをする場合、諸経費を払ってでも借り換えをした方がメリットが出るのかどうかを判断する3つの目安を見てください。

① 金利差1%以上
② 残高が1,000万円以上
③ 残りの返済期間が10年以上

この3つです。

この3つ全てをクリアしたら諸経費を払ってでも借り換えするメリットが出てきます。あくまでもこれは目安では有りますが、ある程度はこれで判断出来ます。そしてこれをクリアしたら次に考えることは、借り換える住宅ローンの商品選びです。

 

4. 住宅ローンは変動金利と固定金利のどれがいい?

今回は元々のローンが変動金利なので比較対象として分かりやすくするために変動金利を例に出しましたが、私は特に変動金利をオススメしている訳では有りません。かといって全員に固定金利をオススメしている訳でもありません。

今後何十年という長期間の金利の推移は、どんな専門家でも明確に予測をすることなんて不可能なのです。だからこそ各家庭の経済状況に応じて、どちらを選ぶのかは答えが変わってくるのです。

変動金利を選んだ場合には、金利が上がった際には家計に大きな打撃を受けることになります。その家庭の状態で、どこまで金利が上がったら破綻してしまうのかといった様に、その家計が耐えられる限界値というものが重要になってきます。

また、限界値だけでなく、実際に金利が何%まで上がればどっちがお得といった金利の損益分岐点も有ります。長くなるのでここでは詳しいお話は省略しますが、こういった数値をキッチリ出して、論理的に判断していくのです。

住宅ローンには変動金利、2年固定、3年固定、5年固定、10年固定、、、、、、35年固定まで、日本で販売されている住宅ローンは全部合わせると約3,000種類のラインナップがあります。

先ほどの例で、今までの変動金利よりもとにかく安くしようと思えば、借り換え先の住宅ローンも変動金利を選べば、元々1.97%だったものが0.475%になるので、総額400万円お得ということになります。(先ほどの計算の通り)

ですが、最近特に多い相談は、元々変動金利だったものを固定金利に借り換える人が急増しています。変動金利よりも固定金利の方が金利が高いにも関わらずです。これは、今の超低金利のうちに固定金利に変えて、今後の金利上昇に備えているのです。

元々変動金利で借りていたけど、それを今の安い固定金利に切り替えるという方です。先ほどのお客様の例だったら、元々の1.97%の変動金利のローンを0.475%の変動金利のローンに借り換えすれば確かにお得です。

ですが、先々金利が上昇してくるとどうでしょうか。

金利の上がり幅にもよりますが、将来金利が上がってくるなら今の低いうちの超低金利時代の固定金利に切り替えておいた方がお得になるケースが考えられるのです。

先ほどのお客様の例で変動金利に切り替えた場合は、将来金利が上がれば総支払額は増えていきます。これを長期間(残年数の全期間など)の固定金利に切り替えておけば、将来金利が上がっても支払いは増えないので安心です。

今回のケースでは元々1.97%の変動金利で返済していたものを、他のもっと安い0.475%の金利で借り換えしたとしても、将来金利が上がると結局は総支払額も増えていきます。ですがこれを、例えば残りの期間を今のうちに固定金利に借り換えると、変動金利に借り換えるよりは高い金利の1.1%になります(平成30年4月の某信託銀行20年固定)。

変動金利に切り替えるよりは初めは高いと思いますが、将来もし住宅ローン金利が2.5%などに上がってきたとしたら、明らかに今の低金利時代の1.1%の固定金利にしておいた方がお得になるというわけです。

この様に住宅ローンの借り換えは、目先の金利差だけで判断するのはとても危険なのです。

将来金利が上がった時にどこが損益分岐点になるのか、といった視点が大事になります。各家庭が負えるリスクの限界値と、この損益分岐点で最終的に選ぶ商品が確定します。これは借り換えの時だけでなく、新たにマイホームを購入される場合も考え方は同じです。

ですが、なかなか一般の方がこれをご自分で計算して判断するのは難しいと思いますので、もしご希望の方はお気軽にご連絡くださいませ。

 

5. 将来は金利は上がるか下がるか?

では今後は住宅ローンの金利はどう動くのでしょうか。

この答えは、、、『金利の動きは誰にも明確に予測はできません』ということです。

これはどんなに知識が有って、どれだけお偉い方であったとしても明確に予測をする事は不可能です。

ですが、今の日本の現状を考えると、何十年という長期的に見て金利が上がるのか下がるのか、どっちの方が可能性としてあるかと言うと、私個人的には20年や30年という長期間で考えると金利は上がっていくと考えるのが無難かと思っています。

これは、今の日本の状況を考えたらという予測になります。今の日本の金利の低さは異常な状態です。正常な状態でこの金利な訳ではないのです。今の日本は日銀が金融政策を行っています。これは一言で簡単に言うと、物価を上昇させるために金利を低く低く抑えつけている状況です。量的金融緩和、マイナス金利、長期金利の操作など、あらゆる対策をしながら金利を低く抑えている状況です。

ですが、これは後20年も30年も続けてやっている事はまず考えにくいと思います。日銀のやっている金融政策は日本にとって大きな副作用も有ります。本当は政府も日銀もこの金融政策は早く止めて正常な金利に戻したいのです。ですが、日本国内の物価や景気が追いついてこないから止むを得ずこれを行っています。

アメリカは5年で金融緩和を止めました。そうすると今まで抑えつけられていた金利は現在ジワジワと上がり始めています。欧州も今から金融緩和の出口に向かっていきます。

日本だけが金融緩和の真っ只中なのです。

これをどのタイミングでやめるのかが、今後の金利動向に大きな影響を及ぼしていきます。まあいつやめるのかは定かではありませんが、今後30年も続くことはまず考えにくいでしょう。

ということは、ローン返済中のどこかのタイミングで金利は上がると考えるのが妥当でしょう。

よく、変動金利で安く借りておけば、その間に支払った金額で元本の返済をたくさん返せるという理由で変動金利を選ぶ方もいらっしゃいます。もちろんこれも間違いではないですが、住宅ローンというのは基本的に何十年もの長期間に及ぶものですので、どこかのタイミングで金利が上がってきた際にリスクヘッジが出来ているのならそれもアリでしょう。

ですが、金利が上がった際にはお手上げ状態の人(毎月返済していくしか方法がない人)は、ある程度リスクヘッジをしておいた方が良いかもしれません。

 

6. まとめ

では、今回の住宅ローンの借り換えを簡単にまとめますとまずは、

● 諸経費を払ってでも借り換えするメリットが出るのか。
● 家計がどこまでの金利上昇に耐えられるのか限界値を出す。
● 金利上昇した際の損益分岐点を出す。
● 借り換え先は変動金利にするのか固定金利にするのか。(変動・固定の両方の実際の金額を出してみる)

という基本的な4つの観点で見て、最終判断をしましょう。
これを一般の方がご自身でやるのはかなり無理があると思いますので、ご希望の方はお気軽にご連絡ください。

もしかしたらあなたも給料の3年分以上のお金を生み出せるかもしれませんよ。

一生懸命何年間も働くのももちろん大事ですが、こういったお金の知識を数時間だけ学べば給料の何年分という大きなお金を生み出すことも可能なのです。やっぱりお金の基礎知識ってとても大事ですね。

あなたの住宅ローンは借り換えをした方がお得ですか?しない方がお得ですか?

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伊藤 尚徳

伊藤 尚徳

金融機関の事業資金融資の部署で8年間勤務した後、FP資格を取得して大手FP事務所に勤務し、その後独立した金融業界一色の専門家。 FPは一つの分野に特化していてはいけないと、幅広い相談が出来る様に独立系FP事務所、株式会社FPギャラリーを設立。 現在、大手上場企業7社と提携し、資産運用、住宅資金相談、保険、税金、相続・事業承継など、法人・個人含めてFP6分野全てで年間約600件以上のあらゆる相談を受けて問題を解決している。 また、全国各地でセミナーや各種講演なども行っており、非常に分かりやすい話し方に定評がある。家計の無駄を徹底的に省き、資産に残す提案を得意とする。

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